きりぎりす愛憎のはなし
このころの顕示欲とハンブル精神の結実がきりぎりすの脚だ。
まいた髪の毛の間から飛び出てくるきりぎりすの脚を毎日毎日むしり取っては食べている。
楽しい思いをする分だけ白髪のように目立つので気を付けなければと思いながら幸せそうに歯を見せている。
わざわざ主張するものと隠すもののふしぎ、それもこれも言及するから気になるのだ。
これをかいたあと数年たった。
他人の頭上を確認しながら声を荒げている暇は私にないことが分かった。自分を幸せにするのは影響力よりも遂行力だということが分かった。高い所から物事を見るよりスポンジに浸み込んでいく水の目の方が色々知ることが出来ると分かった。
だから、きりぎりすが来たら、もうわたくし全力で逃げさせていただく。